「パンティーでカレーを作りたい!」オレンジレンジのリクエストに和興は全力で応える。
土壌に返る和紙素材・WASHI-TECHを使った、人気ロックバンド・オレンジレンジのライブ用レンタルパンティーとはいったい何なのか。謎が謎を呼ぶこの計画はどのような経緯でスタートし、そしてどのようなゴールを迎えるのか。実は未だ途上にあるというその壮大なビジョンを本邦初公開!
オレンジレンジのマネージャー副島光弘氏と和興の國分社長による、息の合ったパンティー談議と痛快無比なサステナブル談議をお届けします!
パンティーからの循環するスキーム
オレンジレンジ/副島マネージャー(以下副島):はい(笑)。去年、2022年7月にオレンジレンジが『Pantyna feat.ソイソース』という楽曲をリリースしたんですが、この曲がタイトル通りパンツをモチーフにした、夏に合うはっちゃけた感じの曲だったんです。その時にメンバーからグッズの提案があったんですよ。例えばパンティー型ハンドタオルとか……そもそもパンティーをオフィシャルグッズとして大々的に打ち出してやっていくことってそんなに無いわけですが、そこをうまく逆手にとって「オレンジレンジらしい面白いことをやれたらいいよね」というのがリリースタイミングからあって。
というのも、コロナ禍で、ライブはやれてもお客さんの声出しができなかったり、会場によっては換気の問題でタオル回しすらできなかったんです。でもちょうど去年の夏辺りからそういった制約がちょっと緩和され始めて、「じゃあお客さんにライブでパンティーを回して貰おうよ、この1曲のためだけに!」というアイデアがメンバーの発想で生まれ、無料でレンタルパンティーを配布することを考えたんです。
副島:で、最初は東日本大震災の復興支援で知り合って以来、オレンジレンジのグッズをハンドメイドで作っていただいていた、宮城県の山元TIMEのお母さんたちに「あのう、ライブで回す用のパンティーを作ってもらえますか?」と頼み、「ぜんぜんできますよ」ということで、端切れなどを使ってパンティーを作ってもらい、昨年9月の全国ツアーからトライしてみたんです。
そしてそれから2023年度のツアー計画が出てきた辺りで、レンタルパンティーを改めて製造しようという話が出て来た。そしたらまさにそのタイミングで、”100%和紙を原料とした土壌に返る服”という取り組みをされている和興の國分さんと、知人を介して知り合うきっかけがあったんですよ。そこで「WASHI-TECHでレンタルパンティーを作ることは可能でしょうか?」とご相談したんです。昨年末のことでした。
和興/國分社長(以下國分):去年の12月、錦糸町で初めてお会いしましたね。で、翌2023年4月に予定されていたツアーに間に合うようにWASHI-TECHのパンティーを作れないだろうかとのご相談を受け、その第一弾として制作したのがこちらのパンティーになります。
しかもですね、もちろんその4月のライブに私も伺ったのですが、このパンツがですね、バズーカで打ち上げられて大量に宙を舞ったんですよ!
副島:そうなんです。過去にもTシャツ飛ばしたりなんだりという実績はあったので、今回はもう「パンティーバズーカでパンティーを飛ばしましょう!」と。で、回す用のレンタルパンティーは回収してたんですが、バズーカの方は持って帰っていいよとやっていたら、だんだんパンティーの数が足りなくなってきて、どんどん作らねばならなくなっていき(笑)。
副島:僕はその時、土壌に返る素材であるWASHI-TECHとレンタルパンティーが頭の中で完全に紐づいてしまっていたので、実は初対面の時から4月のライブのその先の展開もご相談させていただいたんです。それは何かというと、ライブで使用したレンタルパンティーを使って農作物を育てたいという。そしてその農作物を使ってオレンジレンジで何かしらの形で提供したい、循環するスキームみたいなものを作りたい。「レンタルパンティーで作った野菜でカレーを作りたい!」と。
國分:カレーです。オレンジレンジさんはもちろん私も10代から聴いている有名なバンドですし、印象もある程度は持っていたんですよ。でも副島さんにお会いして、メンバー5人の方々のお話を聞いて思ったんです、自分の足で歩いている、ほんとに”地”で活動されているアーティストさんなんだなと。素朴でいいなと思いましたし、副島さんご自身のキャラクターもそうで「パンティーでカレー作っちゃいましょう!」と(笑)。そのノリがとても気持ちよかった。
そして、そもそも服を作るのってもう少し細かいプロセスがあったりするんですが、お会いしてすぐの短期間でパンティーという製品を作ったのも、一種のノリだったんですよね。
國分:副島さんらしさ、オレンジレンジさんらしさとも言えるノリに、僕たちも一緒にノらせていただいたという感じですね。
僕は6年間、このWASHI-TECHという生地の開発に取り組んでいたんですが、そうした僕の話に「面白いですね!」とノって下さり、そしてカレーという展開まで発想していただいたというそこには本当に感謝しかなかったし、ライブで宙を舞うパンティーを実際に見た時にはもう、心が震えたんですよ!
そもそも僕たちはWASHI-TECHをどんな風に表に出していくかという点で少し悩んでいたところがあったのですが、製造業の僕たちでは思いもつかない発想をしていただけた。そうした方々と一緒に、僕自身も目指しているアパレルの循環型の取り組みができる。服を土に返る素材にすることで、捨てる服を土に埋めて肥料にして野菜を作る、カレーを作るっていうそのノリがとても気持ちよかったんです。
副島:発想は基本的にメンバーなんですが、いわば中学生の感覚なんですよね。「これ面白いからやろうぜ!」っていう(笑)。自然にトライ&エラーみたいな感じで、ノリでやってみたことが面白く楽しくできていってしまう。オレンジレンジは、ずっとそういう感じの5人だったりするんです。いろいろDIYでやってきたからこそのノリだったりスピード感だったりがあるのかなと思いますね。
副島:そうですね。今回の取り組みに関してはいろいろな偶然というか様々な縁が重なってこうなったというのもあるんですが、そもそもオレンジレンジ自体がサステナビリティなどに関して意識があって。例えば2021年のZEPPでの全国ツアーの時には、みんな電力さんと協業して、いわゆるCO2の排出量を削減するカーボンオフセットを導入させていただいたんです。それはコールドプレイなどの海外アーティストが導入していて、ワールドツアーで実現していたこともあり、オレンジレンジでも初の試みとして取り組んだ。オレンジレンジはメンバーがそうしたサステナブルについて、SDGsについて常にアンテナを張っている状態なんですよ。
そしてレンタルパンティーについては、最初はコットン素材で作るというそれぐらいしか決めていなくて、使った後はどうするかまで考えていなかったんですが、それをやっていく過程の中で國分さんとお会いすることができたからこそWASHI-TECHという自然に返る素材と出会うことができたんですよね。だから計画的にやっていったわけではなく、やっていく内にどんどん理想の形に近づいた、という感じだったと思います。
そしてライブ後のパンティーはどうなったのか?
副島:お客さんには、楽曲と一緒に純粋に楽しんでいただけたんじゃないかなと、反応を見ていて思いました。ただ問題はレンタルパンティーの回収で。返却ボックスを用意していたんですが、「バズーカで降って来たパンティーも回収ですか?」とお客さんから問合せがどんどん来てしまったんですよ、そりゃそうですよね(笑)。なので、ツアーの最初の回収率は85%程度と低かったんですが、「レンタルパンティーは回収します!バズーカの分はご自由にお持ち帰りください!」とちゃんとアナウンスするようになってからは、回収率もどんどん上がって99%となり、ツアーの最後の方ではなぜか100%を超えちゃうという謎の現象が起こったんです。バスーカの分も集めて返してくださったお客さんがいたんでしょうね(笑)。
副島:うーん。個人的なことになるんですが、僕があまりにもパンティーに対する耐性ができてしまったことにより、常にパンティーを持ち歩き出し、人目をはばからずに常にパンティーを鞄から取り出して「パンティーが!」と話し出すことになってしまったことでしょうか。そして鞄から違うものを取り出そうとしても、一緒にパンティーがぽろっと出てきてしまったりして……國分さんとお話したときもそうだったんですが(笑)。
國分:はははは。僕も、工場からいろいろ言われていたみたいです。なにしろ工場でパンティーを作ったのも初めての試みだったので「ついに社長がおかしくなった!」と(笑)。
國分:実は先日メンバーの方ともお話させていただいたんですが、全てはここからなんですよね。これらのパンティーが実際に土に返り、その土で実際にオレンジレンジさんが野菜を作ったり、次の展開が生まれていく。「あの時に舞ったパンティーが、このお野菜を育てています」というようなストーリーがここから始まって行くことにもワクワクしているんです。
副島:HIROKIが國分さんにメチャクチャ感謝していましたよ。國分さんとお話したことで、より先の方向に向かえたと言っていました。オレンジレンジってこういう出会いというか縁に恵まれたバンドだとつくづく思います。
國分:メンバーの方がカレー好きだと仰ってました(笑)。
副島:そうなんですよ、メチャクチャ好きで。ライブのケータリングとかでもココイチのカレーでメチャクチャ喜ぶんですよ。RYOに関しては「風邪ひいてもカレー食ったら治る!」と断言しているくらいで(笑)。
副島:そうです。まだいろんな検証もしないといけない段階なので。実はそこは國分さんにお任せしちゃっているんですが。
國分:はい。協力してくれる農場が見つかったので、6月末にパンティーと和紙の破材等を持って農場の方と打ち合わせしてきます。
実はWASHI-TECHは3か月ぐらいで生分解が始まって、かつ土壌改良に使えるという側面があるんですよ。微生物が喜ぶんです。そこから土が肥沃になっていき、栄養のある野菜が採れるというエビデンスがあるので、それを農場さんとタイアップして実際にやろうと思っています。
國分:そうですね。やっぱり、こうして実際に農場さんと一緒に座組してやろうとなったのは初めてなので。やれたらいいな、できたらいいなとはずっと思っていたんですが、なかなか循環型までたどり着けなかったんです。でも、オレンジレンジさんとの取り組みを農場さんも面白がってノってきて下さって。だから、全部パンティーがきっかけですね!(笑)。
副島:はい。
現在ツアーやイベント等をいろいろ計画しています。フェスでもパンティー回せたらいいんですけど、規模が大きくなると万単位になっちゃうからどうしましょう?
國分:ははははは。フェスやイベントの予定もあるんですね。楽しみにしています!(笑)。
ORANGE RANGE – 解放カーニバル [Behind The Scenes]
https://youtu.be/YLYXV2C3PT0
<リリース情報>
配信シングル「解放カーニバル」
2023年7月12日(水)リリース
https://jvcmusic.lnk.to/kaihocarnival
<ミュージックビデオ>
ORANGE RANGE – 解放カーニバル (Music Video)
https://youtu.be/V_q5JE4QNCs
8月26日(土)・27日(日)・9月2日(土)・3日(日)にわたり、コザゲート通り・コザミュージックタウン音市場で開催される、おきなわの文化・伝統芸能・音楽・食が集結する無料イベント「KOZA FES 2023 ~WELCOME TO OKINAWA CITY~」に、ORANGE RANGEの出演決定!!
(※イベントは8月26日(土)・27日(日)・9月2日(土)・3日(日)の4日間開催)
会場:沖縄・コザゲート通り/コザミュージックタウン音市場(1F音楽広場)
時間:各日とも開場11:00/14:00~ステージイベント23:00終了(予定)
(※18歳未満の方は22:00以降の入場は保護者同伴であってもお断りいたします。)
料金:無料
お問い合わせ:沖縄市役所 経済文化部 観光スポーツ振興課 098-939-1212
その他の情報はイベントサイトにてご確認ください。
https://the-gates.jp/kozafes/