クライアント様の価値を最大化させる、こだわりのものづくりとは?異分野コラボで拓くプレミアムグッズの新境地。
株式会社ハルズ様は、ブランディング・パッケージデザイン・キャラクター開発・VMDコンサルティングなどのトータルマネージメントを行うクリエイティブプロダクション。誰もが知っている有名商品のパッケージなども数多く手掛けている確かな実力と揺るがぬ実績を持った、素晴らしい会社です。
そのハルズ様からご依頼いただいたのは、ギネスビール、そしてスミノフという、あまりにも有名なビールとウォッカのプレミアム(※購買促進を目的としたグッズ)製作でした。
そもそもなぜ、全く面識のなかった和興にお声をかけてくださったのか。そしてどのような過程を経て、どのようなグッズが仕上がったのか。その詳しいお話とともに、クリエイティブなものづくりに対する様々なビジョンを、代表取締役であるジョー オガワ様にお聞きしました。
妥協しないものづくりができると確信し、依頼を決めた
●まず、和興を選んだ決め手を教えていただけますか。
株式会社ハルズ/ジョー オガワ様(以下オガワ):和興さんを選んだ理由は、私がものづくりのベースとして「ブランドの価値の最大化を目的としている」という大前提からでした。お客様自体の価値や、お客様が持つブランドの価値を最大化することが我々の本分だと思っているからこそ、妥協しないものづくりがしたい。それを実現するためには和興さんが適役だと判断したんです。
判断基準は和興さんのウェブサイトでした。キレイで素晴らしくいいサイトだと思いましたし、そこにあった会社としての取り組みの中にも、単にものを作るよというんではなく、その先を考えているという感覚があった。そして「ああ、一緒にものづくりをしてくれそうだな」と直感的に分かったんです。
なので「もう他を選定する必要ないから、ここに連絡を取って」と、すぐ連絡させていただいたんですよ。
和興國分社長(以下國分):めちゃくちゃ嬉しいです!
●國分社長はグラフィックや建築などデザインに関心が高いこともあって、ハルズ様からのこのご連絡には心底興奮したと言っておられましたね(笑)。
國分:はいもう、まず最初にお問い合わせフォームからのご連絡もとても具体的な内容で「こういうものが作りたい」というお話をいただいた。本当に興奮しましたし、ウェブサイトは重要なんだなと実感しました。
オガワ:ええ、ウェブサイトはちゃんと作らないといけない。いいウェブサイトを作っている人たちは、自分たちの業務をちゃんとできるはずだと見てもらえますからね。逆に、ウェブサイトがちゃんとしていないと「この会社に仕事を任せて大丈夫かな?」と思われることもある。実力って、そういうところからもにじみ出てくるんだと思います。
ブランドに対する愛を深めてもらえるものづくりを目指したら、想像以上の仕上がりに!
●で、実際に作られたのが、まずはこちらのギネスビールのプレミアム(販促グッズ)であるスウェット。黒ビールのイメージそのままに、濃い色からビールの泡を思わせる色に変わっていく丁寧なグラデーションの染めが用いられており、さらにカカオから抽出した染料で染色しています。また、細やかなギネスの刺繍がまた見事で、ギネス好きにはたまらない素晴らしい仕上がりです。
オガワ:これは今年のセントパトリックデイ(2024年3月/ギネスビールの故郷アイルランドの祝日)のキャンペーンの一環として作ったんですよ。ギネスビールを出すパブなどで、ギネスを注文した方がその場で応募できるキャンペーンでした。キャンペーングッズの域を超え、もうラグジュアリーブランドとかでありそうな仕上がりになってますよね(笑)。
ブランドを扱っている時は、やはり我々もそのブランドのファンの一人であるという気持ちを持って作っているんですが、その時に「このブランドの、こういうものが欲しかった!」と思ってもらえるようなものが作りたかった。自分自身で思わず応募したくなるようなものが作りたかったし、当選して手に入れた人が、そのブランドをより愛してくれるようなものを作らないといけないと思っていたんです。
物の価値というのは、そういうところにある。特にギネスは今、アパレルや音楽といったカルチャー的な部分においていいポジションを持っている。そして感度の高い人たちがギネスビールを飲んでいるというブランドにより成長させていきたいと思っているので、プレミアムに関しても品質のいいものを提供していくのは大事なことだと思っているんです。だから今回、納得のいくものを作りたくて和興さんに頼んだわけですが、正直、想像以上の出来上がりになったと思っていますね。
●本当に、このグラデーション染めのアイデアとか、いったいどこから出てきたんだろうと感動しました。まさにギネスビールにして、同時にとても高級感あふれる仕上がりです。
オガワ:グラデーション染めは國分さんのアイデアなんですよ。普通に染料で一色に染めるんじゃなく、そういうユニークさがあった方がいいと。しかもギネスさんに関わるもので染めるのはどうかとか、それこそビールを作った時に出る廃材とかで染められたら面白い、みたいなアイデアまで出してくださったんです。というか、思えば打合せではいきなりとんでもないアイデアから話しが始まってました(笑)。
私たちとしては、「これは実現できないだろうな」とか、頭の中で先に処理して勝手に蓋をしちゃっていた部分があったんですが、 國分さんがそこを軽く飛び越えたところで提案してきてくれたので、ここまで実現してしまったという部分もあります。
しかも、國分さんって「それはNGです」というようなことを余り言わないので、逆に私がストップ&ブレーキをかけるという状態になっていまして。
●それは本来、ストッパー役が逆なのでは?
オガワ:ほんとですよ(笑)。
國分:僕がついアクセルを踏んでしまった例としてはですね、このスウェットの品質タグに入っているシリアルナンバーなんです。このスウェットには70/90と記入されていますが、つまりこれは世の中に全部で90枚しかないものの中の70番目に作った服だよということで。当たった方で気づいてる人はあんまりいないかもしれないですが、それでも洋服でのシリアルナンバーというのをやってみたかったんですよ。まあこの小さなナンバープリントを1枚1枚変えるだけで結構な手間ですし、そもそもそこまで凝らなくてもいいという話ですが、でも僕はこの時、それでもやってみたかった。そして嬉しいのはですね、現在のところヤフオクなどへの出品が1枚もないことなんです!当選者の方もたぶん、ギネス好きとしては手放せないと思ってくださっているんですよ。
●タグに至るまで情熱を注いでいる。というかもはや全体のクオリティが尋常ではないわけですが。
オガワ: はい。生地、染め、ギネスのロゴの刺繍とその大きさや位置や色。全てにこだわっていて、タウンユースができる仕上がりになっている。
國分:中でも染めのグラデーションに関しては、切り替えのところまで染料がしみ込んでいくのを狙っていくわけですが、しみ込んでいく過程は気温や気圧とかによっても変わってくるので、1枚1枚微妙に違うんですよね。あと、染めの工程で生地の縮みが起こるので、最終的なサイズ感を理想的な大きさにするのにもこだわっています。実は全体を染める前のサイズって、かなり大きいんですよ。それが染めた後に縮みが起きて、乾いていい色が出た頃に、服のサイズも小さく変形して固定されるんです。染める前と後で12% ぐらい大きさが変わってくるので、それを想定してパターンを引いて、ということもやっているため、かなり計算や経験というノウハウが詰まった1枚なんですよね。
専門性の異なる複数の会社と協力し合ってものづくりを行う和興の構想「HUB WAKOH」
●ここまで手がかかったアパレルのプレミアムって滅多にないというか、そもそも見たことがない気がします。
オガワ:フルオーダーメイドみたいなものですからね(笑)。同じくギネスのこの帽子もかなり凝っているんですよ。たとえばこの菊穴(きくあな※キャップの空気穴のこと)も開ける位置まで検討したんです。
國分:このキャップは、共に案件を一緒にやったことがある信頼できる会社に頼んだんですが、全部オリジナル製作で、菊穴、刺繍をどこへ入れるかから、鍔(つば)のステッチの数というところまでこだわっています。
●後ろのサイズ調節も高級感ある金具でカッコイイですし、このギネスの刺繍がまたいいですよね。
オガワ:あとこれはまた別の企画でスミノフのプレミアムのタオルなんですが、実は今治製なんです。
國分さんに「タオルは作れますか?」と聞いたら、やはりNGなく「はい作れます。どうせ作るならクオリティの高いものを作りましょう!」と、今治のタオルメーカーで作っていただいた。
結果的に非常に質がいい、給水性がよくてシャーリングの厚みがいい、こだわりのタオルを作ることができました。
國分:タオルのプリントのグラフィックデザインも、素材感も、すごくレベルが高いです。そして僕のこだわりはこのタオルの耳の部分までちゃんとしっかり色がのっているところ。実は同色でこの耳にするっていうのが結構難しいんですよ。そしてこのシャーリング 、素材の触り心地もそうですし、プリントの染まり方とかも安っぽくないんです。すごい上質なんですよ。
タオルは今治の実績あるメーカーに依頼しました。今まで何回か案件をしていたので、タオルを作るんだったら信頼できるメーカーとものづくりがしたいと。
ギネスのスウェットの染めを頼んだ工場も、やはり信頼できる会社です。
●アパレル内の中でも専門性の異なる会社と協力し合って、こだわりのものづくりを次々と実現されたわけですね。
國分:はい。実はアパレルは今、業界的に苦しい。ものづくりがほとんど海外にシフトしているのでみんな本当に苦しいんですが、そんな中こうしたこだわったものづくりという案件をやってる時の、それぞれの会社の皆さんが、めちゃくちゃ楽しそうにするわけです。ギネスの染めを担当した染色会社の社長さんも、うしても自分で染めたスウェットを当てたくて、英国風パブに行ってギネスを飲んでましたからね。当たりませんでしたが(笑)。
そんな仕事の仲間たちと話していると、苦しい中でもこういうお仕事の中に可能性を感じるんです。みんなすごく目をキラキラさせながら作っていたんですよ。
オガワ:そうした感覚は私たちにもありましたよ。そしていつもとは違う仕事の側面を見ていけたということも面白かった。「ああ、アパレル製作の内側はこんな風にやっていたんだなあ」と、我々の立場では今まで見られなかったものを知ることができた。
國分:僕はそうした、異業種というか専門性の異なる会社と共にHUBのように繋がっていくというか、コラボレーションすることから、突破口が生まれるんじゃないかという希望があるんです。このまま何もしないで茹で蛙のような状態で煮詰まっていくのを待つんじゃなく、風を吹かせ、アクションを起こしていきたい。次もまたこういうことがあるのなら、さらにまた別のアプローチもしてみたいと思っています。
オガワ:ええ。業種の違う方との コラボレーションには成長のヒントがあるんじゃないかなと思います。世の中のクリエイティブってやっぱり結局消費素材なので、ゴミになってしまう側面が絶対ある。でもその一方で、やっぱり捨てられないものを作っていきたいという思いもある。こういう長い年月使ってもらえるようなものを作っていくというのは大事なことだと思っているんですよね。残るものを作る仕事っていうのは本当尊いなと思うし、 価値のある仕事だなと思います。
冒頭でも申し上げましたが我々が考えているクリエイティブというのは「お客様の価値を最大化させること」なんです。そのために自分たちがやるべきことをベースにものが作れる、アイデアが出せるという形が欲しい。
異業種とのコラボレーション、HUBは、そうしたことを打開するヒントにもなると思いますね。
1995年に創設された株式会社ハルズ様は、期待をポジティブにオーバーする意味での「overdo(やりすぎ)」という言葉を理念に掲げるクリエイティブプロダクション。
アートディレクション、ブランディング、CI、VI、パッケージなどのデザイン、広告、エディトリアルなどのグラフィックデザイン。
さらにプロモーション企画や制作など、それらに関わる印刷・製造に関するプランニング及び管理までをもトータルでマネジメントできる会社です。
主要取引先企業である、花王株式会社、ガルデルマ株式会社、カルビーポテト株式会社、キリンビール株式会社など、そうそうたる企業のクリエイティブワークを担っています。
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